• 大島 一浩

自然栽培米で生酛造り その6


 「生酛造りって何なの?」

酒造りをお願いしている柴田酒造場さんでは、数回の訪問で蔵の中を案内してもらって、生酛造りの方法などを伺い勉強をさせてもらいました。

 生酛造りの奥深さを知ると自然に、他の酒蔵さんも見てみたくなり、寺田本家さんにお邪魔することに。

生酛造りを現在も行っている酒蔵は少なくなっていますが、寺田さんは生酛造りはもちろん、お米も自然栽培米を自ら作ってお酒にしている酒蔵さんです。

場所は、千葉県。茨城県との県境付近にある発酵の町、神崎町にあります。

当主のマサルさんに特別に、ご案内いただきました(忙しい寒仕込みの最中にお邪魔して、本当にスミマセン)

寺田さんと自然栽培家の杉山さんは、お友達。その関係ゆえに、今回ご無理を言うことができました。

我々も「自然栽培米で酒を仕込む」と伝えると、話題は稲や苗床、作付けや収穫時期などに。やっぱりお酒造りもお米の栽培が基本なのですね。

稲、お米の話を堪能して、「では、蔵を案内してもらいます!」

まずは、お米を蒸す釜から。大きな釜です。

この日は、週一回のお休みの日。寒仕込みの最中ですが、最近はお休みを作っているのだそうです。昔のように連日連夜の作業ではなく「働き方をできる限り現代に合わせたい」とマサルさんの話。

そのため、この日はお米を蒸す作業はしていませんでした。

ここで蒸されたお米は、粗熱を取ってから隣にある麹室へ運ばれます。

ここで、驚くことにマサルさんは「どうぞ、お入りください」と我々を室の中に案内するのです!

当然、一般人は立ち入り禁止のはず。

「え・・・?」

我々にはいろいろな菌がくっついています。それをつけたまま、麹室に入るということは、発酵にも影響が出る恐れがあります。

「いろいろな菌が、働いてより深みのあるお酒になりますよ」と簡単に我々の来訪を受け流しながら、マサルさんは説明を続けます。

私の眼鏡、曇って何も見えません・・・

室では、温度管理が重要です。右側の棚では、玄米に麹をつけています。玄米はより温度や時間に気を遣うとか。

普通は入れない室の中で、色々なお話を伺いました。

酒造りの工程を順番に説明してもらいながら蔵の中を移動していきます。

酒母室です。

タンクの前で説明をしながら、マサルさんは手で酒母をすくい取り、味を確認します。我々にも「どうぞ手に取って味を見てください」と。「えっ???」と思っていると「この酒母は既に乳酸発酵が進んでいるので、簡単に腐ったりしませんよ」とにっこり笑うのでした。

ここが、生酛造りの醍醐味。乳酸菌を人工的につけるのではなく、蔵の中にいる菌が降りてくるのを時間をかけて待っているので、発酵自体が力強いのです。他の菌が少々入っても大丈夫なのでしょう。

順番が前後しましたが、酒母をつくる為に山卸しという作業を行います。麹室で十分発酵した麹米をつぶす作業です。

この桶で、酛をすりつぶしていきます。酛摺り(山卸し)です。

このカイ棒を使って、お米(酛)をすりつぶしていきます。夜通しで麹や蒸米を混ぜ、その後蔵人総出ですりつぶしていく、手間のかかる作業です。寺田さんでは今でも酛摺り唄を歌いながら作業をしています。

続いては仕込室。寺田さんでも基本は三段仕込み。玄米からつくる「むすひ」は一段仕込みだそうです。

 ここでも、やっぱり手を突っ込み味をみます。

ぷくぷく泡が出て、元気よさそうな樽の中の醪です

「わー!」って感じでのぞき込んでいたら「飲んでみますか」とマサルさん。私にあと2~3日でしぼりに入る樽から、醪をすくい取ってくれました。

車を運絵転する杉山さんは、お預け。「ゴメン!」と言いながらニコニコ笑顔の私です。

深みのある「発酵しているなぁ」という感じの味わい。非常に飲みやすく、色々な味が次々に湧いて出てくるのです。決して以前飲んだ”どぶろく”特有の癖のある味ではなく、すっきりとしたものでした。

 寺田本家では、発酵をテーマにしたカフェも営んでいます。週末のみの営業なので、この日はお休み。ここも特別に中を見せてもらいました。

以前使われていた酒樽の蓋がテーブルになっています。

全体的にセルフビルドにて仕上げられた店内は、非常に心地よい雰囲気に満ちていました。

お店の名前は「発酵暮らし研究所&カフェうふふ」 

発酵の里 神崎にある発酵の研究所なんです。おいしいお料理を提供してくれること間違いなし。

そのカフェの外に、竹で作ったオブジェ(ぶらんこかな?ジャングルジムかな?)があり、話題は竹へ

今回の関東への旅の目的は、寺田本家さん訪問以外にも実はあるのです。

有松ミチアカリを東海道沿線の各地でリレーして、あかりを灯したいというもの。寺田さんにもその思いを伝えることができました。

実に有意義な寺田本家訪問となりました。

最後に、寺田本家家訓!

「醸す」ことを業としている会社。長い時間の流れを感じます。

「人は与えたものが与えられる。喜びも自由もお金も親切も空っぽになるまで与え続けよ」の一節は、特に感じるものがありました。

 さて、いよいよ我らの仕込みが始まります。3月の頭から。

待ち遠しくて、夜も寝られませんよ~!


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