これからどうするゲストハウス?

 新型コロナウィルスが、観光業界に長い長いトンネルをかぶせています。我々ゲストハウス業界も苦戦が続いて、先日のオーナー同士のZoom飲み会でも、廃業を考えている人が増えてきている話題になりました。


さて、どうしましょう。当ゲストハウスMADOも影響が出始めキャンセルが続発した2月からすでに半年以上、宿泊者激減状況が続いていますし、オンライン宿泊やおとなの課外授業をやっていますが、すぐに収益には結びつきそうにありません。



まずは、初心に戻りましょう

 ゲストハウスを開業する前の私たち夫婦は、ファッション産業に長く従事していたので、栄枯盛衰に対する時間軸が短く、ビジネスは流行に乗るか乗らないかが非常に重要だととらえていました。


アンテナを張りながら仕事をしていた我々が考えたのが、次の三つのことです。

一つ目は、グローバルな大量生産がほぼ行きついて、服飾がコモディティー化しすぎた結果、ファッションが流行として喜びを与えるものでなくなってしまった。

二つ目は、人々がモノでは充足感が得られなくなり、物質を求めるのではなく精神的な何かを求めて行動していた。

そして、東日本大震災の経験から「絆」が日本人の心の中で重要なポジションを取るようになり、そこから生まれて形になっているものが増えてきていた。その中の一つがゲストハウス。


 ゲストハウスという言葉は、主にアジア圏で利用されている言葉だと思います。タイのカオサン地区でバッグパッカーが長期滞在する安宿というイメージ。

キーワードは、海外、バッグパッカー、安宿、旅の情報交換の場という処でしょうか。

日本のゲストハウスは、そこにコミュニティー(つどい)が追加されていました。

もともとバッグパッカー同士が旅情報を交換するために、おしゃべりは必須。そこに飲み会が加わって、偶発的なつながりが持てる日本独自のゲストハウスが、各地に出来上がっていました。


当時のオーナーのイメージは、効率一辺倒な仕事に振り回されるような生き方ではなく、自由で毎日が旅のような生活をしていても、なんとか経済的には成り立っているように見える。ワーキングホリデーを利用して海外で過ごしてきたオーナーなどは、英語もできるし、なにより生き方自体が自然体。余分な利益は追及せず、自分に必要な収入を得られればそれで満足。賢人のような生き方に見えました。


ゲストハウスを開業することは、考え方やつながりで人々を惹きつけて、大量生産ではないコトを売るにはいいと思われましたし、折しも政府が、東京オリンピックへ向けてインバウンド需要を喚起しようとしている真っ最中です。乗るなら今だ!ラストバス!と考えたものです。



ミスマッチが生じていた

 そんなゲストハウスを開業するにあたって、私は面白い人々に出会える楽しみを目的としました。面白い人の定義がわからないと周りからは批判されたりもしましたが、宿を運営している間に、自分の人生に影響を与えてくれる人に多く出会いました。高校を中退して、日本一周の徒歩旅に出掛けた人、スペインから自宅の香港までヒッチハイクで旅をした人(当然宿泊した日も京都からヒッチハイクで来ていました)、見栄を張らず必要な分だけ収入を得て、少しの余裕ができたら旅に出る人など、今までの仕事の中では到底出会えなかった人々と出会うことができました。


5年前に開業した当時は、そんな面白い人々やゲストハウスにあこがれながら宿泊する人を相手に、出会う喜びを提供しながら運営できていましたが、その後旺盛なインバンド需要に引っ張られて、観光業は飛躍的に伸びていきます。ゲストハウスを開業する人も後を絶ちませんし、カプセルホテルのような業態もゲストハウスを名乗るようになりました。ゲストハウスの認知度も高まり、そういったイメージを抱かずに宿泊するゲストも増えて行きました。



交換するコト、モノが微妙に違う

 宿泊代を先方からいただくために、我々は部屋を掃除してリネンを洗い布団を用意するのはもちろんのこと、ゲスト同士が語らえる場をセットしました。宿泊代と提供するものの価値が等しいと、双方が同感できれば交換が成立して幸せになれますよね。


そもそもゲストハウスが問うている宿泊代ですが、3,000円/泊程度のものです。その代金でゲストを迎えるためには、経済的な施設、規模、運営方法が必要となります。

2段ベッド、共有トイレ、共有シャワーといった安価を約束する施設を、既存物件をリノベして準備する。一度に数十人が宿泊できる規模に設定する。ゲストハウスに興味を示す人が長期滞在するベッドや食事を提供する代わりに、業務を手伝ってもらうヘルパー制度を使うなど、その運営にはそれなりのノウハウがあります。


MADOは、その規模をできる限り小さくしました。10人ほどしか宿泊できない宿では、必要なオペレーション費に比べると収入が少なく、カツカツまたは赤字の状態です。


なぜそれでも続けてこられたのか?


面白い人々に会いたいと願ったその先に「お金に惑わされない」「足るを知る」などの価値観を彼らから教わることができたのです。その価値が、3,000円にプラスされて我々に入ってきていたので、心の充足感がありました。


一方でゲストの方はどうだったのでしょう?

始めた当初、ゲスト側が欲しいものは、ゲスト同士のコミュニケーションや偶発的な出会いが第一で、そこに清潔なリネン類があればそれでほぼ満足というものでした。「3,000円で宿泊できるの?そんなに安いの?」などと言ってくれるゲストもいるほどでした。

ところが、ホテルなども含めて宿泊施設の増加に伴う過当競争の結果、宿泊代金の低下が加速していきます。そうなると、この価格の割には施設が古い(築100年の古民家です)、シャワーが冬は寒そう(シャワールームは裏庭に設置されています)などゲストの欲しいものが変化していきました。



説明する、同感を得る努力

 交換する価値が見合わない。それは我々の説明不足が招いた結果だと思います。うちは、どんなものを提供できるのか、自分たちが楽しもうとしている生活とはどういったものか?どんな未来の話をしたいのか?自然に寄り添いたいのか、離れたいのか?そういった考えを正確に伝えずに、集客してきたためだったのかも。

MADOを立ち上げた直後から、OTA経由の予約が入り順調に進んできました。流れに乗って、メディアに吐出することも多かったので、そのまま漂っていたのかもしれません。


私どもが提供している宿は、場所、日程、価格などのエレメントでソートされる宿ではなかったのです。説明しきれないものを内包している宿、また相部屋だったり共有する部分が多かったりして、一般的に比較可能な要素を揃えていない宿だったのです。


価値を交換するためには、それを欲しい人と提供できる人が出会える場が必要です。いわゆる市場です。宿泊ということであれば、OTAなどのインターネットでのプラットフォームがそれにあたるかな。

市場ですから、そこには需要を満たすための豊富な提供者がいて市場価格が生まれすが、価値を価格だけに置き替えることになってしまう恐れがあります。


D2Cというオンラインを利用した新しいビジネススタイルも確立されてきています。モノを作る人が、価値を説明して自分で売る。そこで取引されるモノは、市場価格で取引されているコモディティーとは違い、価値がわかり欲しい人だけに向けてアプローチされています。

今後は、我々もHPでも持ち味を伝える努力をして、どんどん説明をしていこうと思っています。


また、提供するものも宿だけにはとどまらず、町並み案内、歴史の話、発酵ご飯、お酒、絞りなど、ゆっくりとMADOや有松、愛知を楽しむツアーを組むことも考えています。

MADOで提供できる価値を説明するには、江戸時代そうであったサスティナブルな生活を楽しみながら体験をしてもらうことも重要だと考えました。やはり東海道筋の宿ですからね。


そうなるとゲストハウスという枠にはハマり切りません・・・


あっ、今までも東海道に竹あかりを並べたり、自社ブランドの日本酒造ったり、マルシェやったり、酒造場を作っちゃったり、枠はみ出してたわ!

コロナによる自粛は、いつか収まります。その時に向けて観光業として考えられることを形にしてみよっと。



MADOオーナー

大島


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