ゲストハウスで楽しめてる?

「うーん、なんかゲストハウスって楽しくないんじゃないかなぁ」

コロナ禍前から、なんとなくそんな気持ちでゲストハウスを営んできた。


海外からも江戸時代の佇まいを楽しみに、多くの旅人が来てくれていました

大量生産にホトホト疲れてアパレル業から身を引き、地元である名古屋市有松にゲストハウスを女将と一緒に立ち上げたのが2015年。


畑違いの業種から転職して関わる人間が違うと、これほどまでに世界が変わるのかと感じた。来る人来る人、皆異星人に見える。競争社会の中でもまれて生きてきた前世代の人間からすると、当代若者の気質が理解できなく、半年くらいかけて考えを矯正していったのを昨日のように覚えている。


とにかく訪れるゲストは皆、自由であった。特にお金から開放されて生きている様は、資本主義社会にどっぷりはまっていた私の心を揺さぶった。

最初は怒り、心配したのだが、憧れへと変化していくのが、我ながら面白かった。


ゲスト同士も感覚的に似ていたのか、見知らぬ人、外人、どの人も自然に打ち解け会話を楽しむ光景が続いていた。

皆、偶発的な出会いを楽しんで、いわゆる「ゲストハウスだなぁ」とニコニコしている夜が多かった気がする。


そんなのどかな(経営は苦しかったが)日々が続いてきたが、競争社会とは恐ろしいもので、流行りを察知すると、ぞろぞろと入り込んでくる人が多いこと多いこと。

あっ! 当然私たちもブームに乗るために入り込んできた者ではあるが、あえてここでは棚に上げて話を続けよう。


2018年頃から名古屋市内の駅近に、ゲストハウス? というビジネスホテルがたくさんできてきた。東京オリンピックだ、インバウンドだという合言葉で、まさにラッシュであった。

それに伴い、客層が少しずつ変化していった。ゲストハウスという言葉が一般化していくにつれ、ゲストハウスとは、とがった人たちが行く蟻地獄のような存在だったものが、入っても出てこられる安心な場所に変わってきたようだった。

決して、マジョリティーに浸透してきたわけではないのだが、例えば他で宿が見つからなかったとき気軽に「まぁ、ゲストハウスでもいいか」的に選択できるようになったということである。


そんなゲストが増えてくると、コモンルームの畳の上で、旅の話や、明日行くところの情報交換などをしながら、見知らぬ人同士が打ち解け合う光景が少なくなってきていた。


「ゲストハウスってホントに楽しい?」と考え始めたころに、突如やって来たコロナ! 

客層がどうとか、ゲストハウスとは! とか、まったくお構いなし。すべてをなぎ倒して、ゆっくりとした時間だけが、天から降りてきた。

「あー、これでゲストハウスも終焉かな」と考えたのだが、すぐに他にやることも見つからず、茹でガエルのようにじっとしているだけ。時間を持て余し、不安に押しつぶされながら、あれやこれやつまらないことを考えることしかできなかった。


「なんでゲストハウスがブームになったんだ? いや、ブームというほど流行っていないぞ」

「ゲストハウスに何を望んで、皆集まったんだ? 寂しいのか?」

「そもそも旅する目的はなんだ?」


考えるうちになんとなくつかめてきたのは、旅の仕方が変化していること。

地域の人と交流するなど、人との出会いを求めて旅に出ることが多くなっているし、気づきを求め、自分が今いる世界とは違った人の輪に入ることを期待しながら旅に出ることがないだろうか。


そんな偶発的な出会いを求めるのであれば、それぞれの旅人がそれを期待して、心がけを持って集まらなければならないのではないだろうか。

心構えというと大げさだが、「今日は誰と出会えるかな?」と期待するだけでもいいから、少し準備をすることが必要だと感じる。


そんな旅への準備をして訪れたゲストハウスが地域とつながっていると、そこに集った人々との出会いがあり、目の前の世界がぱっと広がるのではないだろうか。


ということは…… ゲストを迎え入れる側のゲストハウスも、そんな人々が来たら対処する術を用意しなくては。

そう考えて、近々地域での体験を宿泊に絡めたツアーを売り出そうと動き出している。

育った町なので、町を歩けば顔見知りも多いし、有松には絞りという伝統工芸がある。体験を絡めると楽しくなること間違いなし。


背中の笠が物語っているベトナム経由のゲスト。色々な出会いがあったのだろうな。

皆さんもゲストハウスを始めて体験した時のことを思い出してみませんか。


そこにはコミュニティーがあり、繋がりがあったと思います。その時は、ワクワク感を持って、まだ見ぬ体験を創造しながら旅立ちませんでしたか?

ゲストハウスへ何度も行くうちに、なんとなく期待もせずに旅をしていませんか?


そんな時、再び心構えを持って旅に出れば、ゲストハウスは最初に出会った時と同じように期待に応えてくれるはず。素敵なスタッフが待っています。


先日、亀時間のマサさんとやり取りしたメッセージからも、吹っ切れている感がにじみ出ていました。再びゲストを迎える心の準備は出来ていましたよ。

どのゲストハウスもコロナでヘタっていますが、やる気で前に進んでいます!


さぁ! 旅に出るときが近づいています!


終わり


旅に出るぞ!



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