国立公園はミルクのようなクリーミーな味わい

「明日、私の誕生日!」


女将の一言から、その日は始まった。


「覚えてた?!」と畳みかける女将。


「ん? わかってるよ」…… 「食事に行く?」なんとか切り返した。


覚えていたのだ。確かに、3日前には。

「誕生日だなぁ。何がいいかな?」と考えてた。

それが、そのまま前日になってしまっていた。話題を切り替えないとマズいと感じて、とっさに提案したのが食事だ。まぁ、ありきたりというか……


「ん…… どこへ行く? 緊急事態宣言が出ちゃったし……」と、三密を避けたい様子。


コロナの影響で、ゲストハウスの経営も大変で、去年はアルバイトもしていた。と言っても大した収入にはならなかったが、食事1回分くらいの金はある。


「バイト代があるから、フランス料理だって食べられるよ」


「フランス料理? 高すぎるよ。いらない、いらない」


バブル時代を生きてきたイメージが抜けきらない私の発言を一蹴され、さてどうしたものかと再び誕生日プレゼントを考え始めるのである。

高額な食事はダメか…… そうだ、最近肩こりが酷いと言っていたな。温泉でも行けばリフレッシュできるかな。


「ひなびた温泉はどうかなぁ?」


「大雪で長野なんかの温泉へは行けないでしょ。スタッドレスタイヤもないし」


なんとも絶望的な会話である。

いやいや、ここで立ち止まってはいけない。北上すると確かに大雪だけど、南下すれば山でも雪はないのではないか? 確か熊野あたりには温泉があったはずである。


「ちょっと調べてみるわ」


私の感覚では、源泉かけ流しがベスト。車で4時間ほどのところに、やはりありました。秘湯めいたいい感じです。日帰り出来て、バイト代で間違いなく楽しめそう。


「4時間? ちょっと遠くない? もう少し、近くにはないの?」


要求はしっかりしております。さらに調べて、津市で少し山間に入ったところにある榊原温泉郷でも日帰り温泉があり、そこを勧めることにしました。

三重県もじっくり調べてみると、ゆっくりできそうな場所がいくつもあります。榊原温泉であれば1時間ちょっとで行けます。温泉だけで日帰りするのはもったいない。


「牡蠣、食べる?」


「え! いいわね」


志摩あたりで牡蠣を食べた記憶をたよりに、誘ってみると入れ食い状態。牡蠣は女将の好物です。「よし。誕生日の贈り物決まり!」と心の中でつぶやくのでした。


志摩と言えば、リアス式の海岸線や入り江、大小の島々が、絶景を作っていて、伊勢神宮も含めて伊勢志摩国立公園に指定されています。サミットも開催されましたよね。

志摩の牡蠣は的矢湾のものが有名ですが、もう少し伊勢に近い浦村町にて産直で食べられるところを見つけます。牡蠣小屋で焼き牡蠣食べ放題とあるではないですか。


「おっと! ちょっと待て」牡蠣は食べ過ぎるといいことはありません。貧乏性な二人は食べ放題となると食べ過ぎてお腹を壊しそうな予感。提案は慎重に!


「鳥羽から15分くらいのところで、牡蠣小屋があって、単品でも注文できるよ。食べ放題だと食べ過ぎるかもしれないしね」


「そうね…… そのほうがいいかもね」と、食べ放題の欲望をぐっとこらえながら満足そうな女将の様子。


予約も完了。無事、誕生日を迎えるのでした。



生浦湾(おおのうらわん)に牡蠣の養殖いかだが浮かんでいます。ホントに気持ちいい風景。牡蠣養殖業者さんが、牡蠣小屋を作ってその場で食べられるところが何軒もあります。その日訪れたのはスギウラ水産さん。小屋はパイプの骨組みで作られた質素なもの。それでもアルコール消毒、換気などコロナ対策はしっかりしていました。


席に着くと隣のお父さん二人連れが、すでに戦闘状態。傍らにあるバケツには、牡蠣の殻が、みるみる溜まっていきます。焼き牡蠣、蒸し牡蠣ともにお店の人がどんどん運んでくれています。まるでわんこそば状態! 

そんな二人の隣で、食べ放題をぐっと我慢して、単品で注文を終えしばし料理が出るのを待ちます。


注文したのは、牡蠣フライ。なんともジューシーで大粒の牡蠣。牡蠣独特な臭みもあまりありません。揚げ物ですが、いくらでも食べられそう。

続いては、雪見牡蠣なるもの。蒸した牡蠣に大根おろしとポン酢が掛かっています。こちらも牡蠣の癖がないので、食べやすいです。採れたての牡蠣なので、臭みを感じないのかも。


そして、お目当ての生牡蠣。もうそれは美味しくてたまりません。


「やっぱり牡蠣は生でしょ!」と女将納得の表情です。


追加注文もして結局単品注文ながら、お腹いっぱい。国立公園でミルクのようなクリーミーな牡蠣の味わいを堪能できるとは! 伊勢志摩国立公園、恐るべし。


今回尋ねたのは、鳥羽市浦村町。名古屋の当ゲストハウスMADOから車で2時間ほど。電車バスを乗り継いで行くこともでき、近鉄鳥羽駅から“かもめバス”で30分ほどです。


MADOから日帰りできる範囲の国立公園で牡蠣とお伊勢参りのセットなどいかがですか。「あっ! 今回もちゃんとお参りもしてコロナ収束を願ってきましたよ~」


ゲストハウスMADO

大島

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