急がば回れ

「時間に仕事をさせているんですよ」

これは、亀時間を訪ねた時のオーナーマサさんの言葉。以前のブログにも書きましたが、発酵の話。


MADOは、8月8日で7周年を迎えます。皆さんに支えられて、細々とですが続けてこられました。改めてお礼申し上げます。また、これからもよろしくお願いします。


私たち夫婦は、7年くらいの周期で生活が変化してきました。結婚して7年目に私が会社を辞め独立したり、独立して7年後に中国に移住したり、中国での生活は10年ほど続きましたが、その後MADOを開業しています。


なぜ7年なのだろう? と考えると、時間が仕事をしていることに気づきます。


人間関係も発酵なんです。発酵は菌の働きで、時間と共に熟成されて美味しくなる食品の話ですが、時間をかけると発酵のように熟成するものは、人間関係でも同じだと思います。

私たち夫婦が、7年ごとに生活を変化させてきたのは、仕事をしていく上で出来上がった人間関係が、7年という時間によってあたかも発酵するかのように私たちを次の方向へ導いてくれたからだと思います。


中国から戻ってMADOを開業した時は、それまでの人間関係を断ち切って、まったく違った業種への方向転換でした。未知の世界でしたから、開業当初は7年も続けられるとは考えてもいませんでしたが、7年たった今「時間」の力を改めて感じています。


2年ほど前、開業5年目頃は、オリンピックへ向けて猫も杓子も宿泊業。名古屋市内もホテル建設ラッシュです。ゲストハウスも過当競争となり、それまで伸びてきた売上も減少へと坂道を下りはじめました。

「こいつは、どこまでゲストハウスを続けられるのかなぁ?」と気に病んでいたところへ訪れたコロナ禍。宿泊需要が蒸発……!


これは廃業かと思われましたが、ここで紡がれた時間と人間関係が仕事をしてくれました。

ゲストハウス仲間たちとの情報交換で、どう乗り切るかの知恵をもらい、ゲストさんなどからは応援と勇気をもらい、大家さんには家賃を減額してもらいました。仕事をしてくれた(なんとか乗り切っていられる)のは、紡がれてきた時間や人間関係によるものでした。


仲間たちとの関係は、次なる可能性も産んでいます。


元来、有松は観光地になり切れない観光地っぽい町です。名古屋駅から電車で20分ほどで到着する観光地っぽい町には、皆1〜2時間ほど滞在するのが常。ざっと古い町並みを見て、絞りのお土産を買って足速に繁華街へ戻っていく。そんな観光客を見ながら考えていたことがあります。

「MADOに宿泊して長時間滞在すれば、有松の良さはわかるのに……」


実際にゆっくりとMADOで滞在したゲストさんからは、

「本物がある!」

「なんだか癒される」

などといったコメントをもらっていますので、ツアーを作って体験と宿泊をセットで売り出せば売れるんじゃないかなぁ。と考えていたところにコロナ禍で機会が訪れます。


コロナ禍で大打撃を受けている観光業に、国や県が補助金を用意してくれたのです。Go To トラベルがそうですし、その他にも補助金の募集がありました。


「よし、ツアー作ってみよう!」


と、ゲストハウス仲間のなごのやの田尾さんにツアーの告知などをお願いして(田尾さんは旅行代理店も経営している)補助金に応募しましたが、見事に惨敗……

某大手OTAに努める友達から、我々のツアーに関して評価をもらい、観光庁の補助事業に応募するも、こちらも惨敗……


何が足らないのか? 自分たちの目指していることは何か? などを再三問い直し、めげずに再応募することになります。その時は、さらに仲間が増え名古屋市観光推進課の方々や名古屋観光コンベンションビューローの方々の意見も得られるようになっていました。


我々が考えた、時や人を紡ぐということは、点ではなく線にすること。


有松は、観光地っぽい町です。それは歴史ある建物が残っているから。その建物を作ったのは絞り染めのおかげで、有松絞は江戸時代に流行したのです。というのが普通語られる有松ストーリー。有松を一地点で捉え線ではない。


絞り染めは、工程の一部です。その他の工程がなければ製品はできません。また、東海道が媒介して、江戸と有松の人々を線で結ばれていなければ有松絞は、江戸庶民に受け入れられ大流行することはなかったでしょう。

工程を一つ一つ線に紡いでいくと「コットンロード」が浮かび上がります。愛知県知多半島に広まった木綿産業(知多木綿)を利用して、東海道がもたらす情報を使って江戸で流行を巻き起こす。

江戸時代の人々の営みを思い描き、紡がれ線となった先に有松絞をまとった江戸の歌舞伎役者の錦絵がある。これが我々が考える「コットンロードストーリー」です。


線を紡ぐと面白い。


そう考え、ツアーを造成して試します。モニターツアーを催行して、みなさんから意見を頂戴しようと考え、スケジュールも立て「実施するぞ!」と意気込んだその時、第5波がやってきました。愛知県にまん延防止措置が適用され、モニターツアーのスケジュールを大幅に見直さなくてはなりません。

しかし、このツアーを一緒に作り上げてくれる仲間たちは、スケジュール変更に応じてくれ、前に進んでいく動力になってくれています。


MADOの格子窓越しに江戸時代の佇まいを眺めていると、一人一人が紡いてきた時間と人間関係が浮かび上がってきます。発酵のように時間をかけて紡がれている町、有松。

それを皆さんにも味わってもらえる工夫をふんだんに取り入れたツアーをこれからブラッシュアップして、来年には販売したいです。


8年目のMADOは、きっと線が面になっているでしょう。

いい時間が仕事をしてくれます!


なお、ブラッシュアップのためのモニターツアーを開催予定です。現在まん延防止重点措置が愛知県に発令されていますのでお休み中ですが、先々の予約を受け付けています。

ご興味のあるかたは、(株)ツーリズムデザイナーズの申し込みサイトにて、申込ください。


GUESTHOUSE MADO

オーナー 大島

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