Go Toトラベルで、みかんの置いてある「こたつ」を目指します

 自身のブログにてGo Toトラベルに参画するかどうか悩みを書いたのは、7月の終わりごろ。すでに5か月も月日が流れているのですね。

時は経ちましたが、Go Toトラベルのバタバタは相変わらず。宿泊業者としては、振り回されています……利用する側の皆さんも年末年始の予約をキャンセルされた方もいませんか? コロナ第3波のためとはいえ「何とかしてよ~」と言いたいところですよね。


当ゲストハウスのある名古屋も12月に入って適用除外され、ゲストへの連絡やキャンセル対応でてんてこ舞い。ブツブツ言いたくなっているのですが、それでもGo To トラベルは宿泊業者にとってへその緒みたいなものだと思っています。


当初Go Toトラベルは、大手ホテルや高級旅館にとってはメリットがあるけれども、そもそも宿泊代金が最安値の我々のような宿では、お客様がメリットをあまり感じないので予約が増えるとは思っていませんでした。

ところが、山間部や都市郊外でのんびりとできそうな場所にあるゲストハウスでは、東京が解禁になった10月以降は驚くことに前年実績を上回るところも出てきていました。もちろん観光地の大手ホテルや旅館は、連日満室のところもあります。

当宿のように都市部のゲストハウスは、なかなか予約が入りませんでしたが、それでも11月になると例年の40%くらいの宿泊客が来てくださり、すべてGo To トラベルを利用されました。


35%割引というわかりやすいインセンティブに多くの人が賛同した表れです。都市部の宿泊施設が振るわないのは、多くがビジネス用途で、観光用途での利用が少ないことが原因だと思われます。コロナで出張は激減していますが、個人旅行の需要は割引により掘り起こせたということでしょう。

こうなってくると「参画していてよかった」と内心つぶやいていたのです。「Go To トラベル対象ですか?」とあらかじめ問い合わせてくるゲストもありましたし。


 思えば緊急事態宣言が出た4、5月は、休業をしており売上ゼロ。このままでは、日本から宿泊施設が無くなってしまうのではないかとさえ思っていましたから、施策として出されたGo To トラベルは、宿泊施設全体でみると栄養を補給し続けるへその緒のような役割に間違いなくなりました。


コロナが終息して自由に旅ができるようになれば、へその緒の役割は終わり誰も見向きもしなくなってしまうでしょうが、それまでの栄養補給路としての役割は無くてはならないものだったと言えるものになるのでしょう。


我々宿泊業者にとっては、この上なくありがたい施策だと思いますが、スタートから現在進行形で混乱が続いています。スタート当初は、大手の旅行代理店、ネット事業者、大規模ホテルなどに先行して情報が流れ、小規模な施設がどうやって参画すればいいのか方法もわからず、仲間と情報交換をしながら手続きを進めなくてはならないほど小規模事業者切り捨てだと感じました。

参画後は非接触型体温計、アクリル板、手指消毒スプレーなどの備品設置をし、通常の清掃プラスアルコール消毒など、しっかりとした感染対策、そして大きなポスターに始まって旅の心得などの掲示を求められ、地域クーポンでは、クーポン券の配布に当たりハンコを押し作業や在庫と配布枚数の厳格な管理を求められるなどさまざまな負担を強いられてきました。業者側から見ても、手放しで喜べる施策ではないのです。


 大混乱の施策ではありますが、多額の税金が投入されていることはご存知の通り。それが多くの議論を経ることなく、有力政治家と業界のあうんの呼吸に官邸が応じたようなかたちで期間延長もされました。

そんな状況に大手マスコミを始め国民からも大きな反論が出てきません。そこにどんな意味があるのかと、Go Toトラベル事業に振り回されている小規模ゲストハウスオーナーなりに考察してみると、旅のもつ神秘性にたどり着きます。


大自然に触れる、その土地の名物に舌鼓を打つ、人と触れ合うなど、旅によって人生が豊かになることはよく言われます。人にはじっとしていられないところがあり、何かを探す、気分転換をする、自分を見つめ直すなどのために旅を続ける遺伝子が組み込まれているのでしょう。

狩猟採取を長く続けてきた人類は、動きながら生きる糧を得てきました。不安があると別の場所へ移動するかどうかを決断し、新しい場所へ移動してきました。コロナのような漠然とした不安により、こうした移動感情が掻き立てられているかもしれません。

旅とは、そうした生きる術として人に備わっているものなのかも。


 さてGo Toトラベルによって支えられ生き残った観光業は、今後どうなるべきなのでしょうか?答えは多様性に富んだものになると思います。それぞれの宿で個別の要望をかなえる特色を生かしたものに顧客はひきつけられ、満足を得ると思っています。そのため答えは一つではないでしょう。


当宿は、持ち前のコミュニケーションで旅のお手伝いをしていくことに磨きをかけようと思っています。旅人と地元有松絞りの職人などを繋げたり、「時」を切り口としたイベントを開催して皆で循環できる暮らしを語り合ったりして、ゲストハウスの特色であるコミュニケーション力をもっともっと磨いていこうと思います。

そう、まるで冬のこたつのような場所に。

みかんの置いてあるこたつです。そのこたつに入ると暖かくてほっとする。みんなが集まると話が弾む。春になるとこたつから出てその話が行動となり、何か形として現れる。そんな人間関係を形成するこたつのようなたまり場になることに磨きをかけようと思っています。

Go Toトラベルで支えられ何とか息をしながら、仕掛けを練っているところです。

早くコロナが終息して、春になってみんなが自由に行動できるときを待ち望みながら。


MADOオーナー

大島一浩

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